12歳のとき、父の勧めで始めたフリークライミング。
わずか1年でジュニアオリンピックのユースB(16歳未満)で3位に入賞するなど、すぐに才能が開花。
日本選手権3連覇や2009年ワールドカップリード種目年間総合3位、昨年は、念願であったワールドカップの総合優勝も果たし、現在、Adidasのグローバルアスリートとして活躍中。
世界で今最も注目をされているトップクライマーの一人だ。
順調に歩む彼のキャリアの中でも、スランプに悩んだ苦しい時期があった。
彼はスランプをどのように乗り越えたのか?
さあ・・・プロフリークライマー安間佐千様の登場です!
「自分の内なる声に素直になる」
小学生から中学生に上がる時にクライミングを始めました。
凄く魅了されましたね。
ここが面白いとか説明はできないんですけど、「次はいついけるかな」とかワクワクしていました。
同年代でクライミングをしている子供も周りにいなくて大人に混じって登っていたので比較もできなくて、自分がどのくらいのレベルなのかもはっきりとわかりませんでした。
クライミングジムにいっても自分で勝手に「今日はどの岩と岩を使って登ろうか」と自由に考えて登っていました。
「前回より登れた、嬉しい」そういう感じで取り組んでいましたね。
中学生になって栃木のローカルな大会に出て、ユースクラスで2位に入賞。
翌年の2月にユースチャンピオンシップに出場して、5位か6位になったんです。
そこで全国の同年代の子ども達と対面しました。
この大会くらいから、徐々に大会でも結果を残したいと意識するようになりました。
16歳になって初めてワールドカップに出場した時に、ファイナリストに残った8名のメンバーのあまりのレベルの高さに圧倒されました。
自分もこの世界に入って「世界一になりたい」って明確に思うようになったんですね。
徐々に「勝つためにはどうすれば良いか」という思考をするようになって、何を食べて、どんなトレーニングをして、どんなメンタルでいれば勝者になれるのか、それを真剣に突き詰めていました。
そうして突き詰めてトレーニングをして臨んだ翌年のワールドカップが5位と、これまで更新できていた順位が人生で初めて結果が悪くなったんですよ。
正直最初はわけがわからなかったです。
当然優勝するつもりだったんですよ。
でもその時、知識ばっかり入れ込んで、頭でっかちになっていて、自分の心の声を聞いていないなって気付いたんです。
クライミングを始めた頃の自分がやりたいことに対するアンテナが敏感な状態に戻していきました。
トレーニング科学にも縛られず、今日は登りたく無いと思えば登らず、自分の気持ちに素直に従ってクライミングに向き合いました。
でも、ワールドカップの勝利者というイメージから遠ざかっていっているようで、もしかしたら弱くなっていっているかもと考えると凄く怖かった。
だけど、自分を信じました。
この時が、今までで一番のんびり登っていたと思います。
そうしたらその年にワールドカップで総合優勝できたんです。
不思議ですよね。
がんばろう、がんばろうと思うことをやめてみる。
自分の内なる声に耳を傾ける。
これって意外と大事なんですよ。
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