明日11月23日は、日本の収穫祭である「新嘗祭」。
本日は「食」の分野で活躍するスゴい人が登場する。
彼は公家の家系に生まれ、平成21年、清櫻堂27代目を継承し、雅号「栄仁」を賜り、近衛流松本宗家当主を後継。
現在は多数の連載や執筆のほか全国各地で「日本文化を愛でる会」を主宰し、日本の伝承・伝統文化の普及に努める。
そして今年、著書『SUKIYAKI』で「グルマン世界料理本大賞2013」世界No.1グランプリを獲得した。
世界で認められた著書に彼がこめた思いとは?
さあ・・・佐原茶寮「花冠」司厨長・食品学者・財団法人清櫻堂書院 理事長 松本栄文様の登場です!
「食を通じて日本人を本来の日本人の姿に戻す」
小学生時代、特に印象に残っていたのが学校給食でした。
給食はいつもとても美味しいのですが、毎年、学年の最後の給食では桜の塩漬けの入った桜おこわとエビフライが出されていました。
栄養士さんに、「なぜ毎年同じ献立なの?」とたずねると、「私は職員ではないから卒業式で生徒達をお見送りする事もできない。だから、こうして精一杯のお祝いのお食事を作る事が私からの最後のお祝いなの」と答えてくださいました。
この栄養士さんの心意気に感動しました。
幼い頃から食に興味が深かったのですが、大人になり、29歳の最後の日に4畳半の茶室に1人でこもり、自分の30代の生き方を考える時間を取りました。
20代までの人生では多くの人、物、事に出会い学んでまいりましたので、30代は自分から発信し伝えたいと思うようになりました。
現在は松本姓を名乗っておりますが、もともと私の家は近衛流の家系ですので、この家系に生まれた私には私達が受け継いできた日本の文化を伝え「日本人を日本人に戻す」という使命があると感じておりました。
幼い頃から食べることが好きでしたし、「食」を通じると「日本文化」というテーマを初めて聞く人も受け入れやすく伝わりやすいと思いましたので、自分にしか出来ない切り口として「食を通じて日本人を日本人に戻す」ことを私の30代の役目としました。
『SUKIYAKI』は、松阪牛を主題に4年半農家さんへ通いつめて執筆しました。
松阪牛はもともと牛がいないと生活の出来ない場所で農耕用として飼われていた牛さんたちです。
ですから、1軒の農家さんで4、5頭だけを飼育し、飼い主の方々は牛さんたちに家族のように接し毎日体をなでてあげているのです。
松阪牛の肉質が良いのは、こうして愛情を注いで大切に育てた結果なのです。
農家さんは「肉を育てているのではなく、牛を育てるのが仕事」とおっしゃいます。
良い牛を良い肉にするのは肉屋の仕事なのです。初めは趣味でしたが、こうして4年半プライベートで通いつめ、出来上がった本が、『SUKIYAKI』です。
『SUKIYAKI』を桐の箱に入れて風呂敷に包みフランスにお送りしたところ、目に留めてくださって、このたびの受賞へと至りました。
現在は、映画化の企画の準備を進めており、また新たに、京都の「すぐき漬け」から日本文化を読み解く本を執筆しております。
今後も書籍や講演活動を通じ、物事のつながりを食を通じて伝え、現代の日本人を本来の日本人の姿に戻す事に私の命を使ってまいります。
◆松本栄文 公式サイト
http://matsumoto-sakafumi.jp/
◆著書『すき焼き SUKIYAKI』
http://www.amazon.co.jp/dp/4876896054
◆著書『食材は語る』
http://www.amazon.co.jp/dp/487689602X
※上記サイトは、一部携帯では見られない可能性があります。