本日登場するスゴい人は、十八世永世名人の資格を持つ棋士。
永世名人の資格は、名人位を5期以上保持した棋士に与えられる。
かつて永世名人位は世襲制であったが、昭和24年の規約改定により現在の実力制になり、現在までに十四世から十九世までのわずか6名が実力制永世名人の資格を与えられた。
そんなスゴい人にも、前に進めず苦しい思いをした時期があったという。
さあ…
棋士
森内俊之様の登場です!
「ゴールの無い面白さ」
子どもの頃から何よりも将棋をすることが好きで、プロになりたいと思っていました。
12歳でプロ棋士養成機関である奨励会に入り、16歳でプロ棋士になって、比較的順調に進んできました。
ところが25歳で名人に挑戦することになって、当時絶対的な王者だった羽生さんにコテンパンに負けてしまいました。
それ以降、なかなか檜舞台に立てなくなり、20代後半は一進一退で全く前に進めない苦しい日々を過ごしました。
そのうちに同年代の仲間たちが台頭してきて、羽生さんに勝利し、タイトルを取る中、私はずっと無冠でした。
仲間において行かれるようで、この時は本当に苦しかったですね。
ある時、A級順位戦の成績がトップタイになり、勝てば名人挑戦権を得られるプレーオフを戦いました。
当時の名人は子どもの頃から一緒に研鑽を積んできた佐藤康光さんで、いつかは大舞台で戦いたいと思っていた相手です。
しかし、優勢な状態からミスを連発してひどい逆転負けを喫し、名人挑戦は叶いませんでした。
久しぶりのチャンスだったのに自分は何をやっているんだろうとひどく落ち込み、呆然として、この日は対局が終わった後も家に帰る気にもなれませんでしたね。
その年の名人戦は激闘でした。
佐藤名人の戦い方、勝負にかける執念を目の当たりにして、自分に足りないものを痛感しました。
その後自分の考え方を一から見直し、タイトルを取るためにできることは全てやろうと心に決めました。
31歳の時に初タイトル名人位を獲得。
信じられない気持ちもありましたが、夢が叶い大きな達成感がありました。
将棋の面白さは、どこまでやってもゴールが無いというところです。
プロ棋士になってもうすぐ30年になりますが、今後は現役で頑張っていくと同時に、自分が今まで学んできた事を後輩達に伝えていきたいと思っています。
最近子ども達の間でも将棋が流行っていますが、将棋を通して礼儀作法や考える習慣など、生きていく上で大切な事を身に着けることができます。
私たちの頃は将棋の勉強法が限られていましたが、今はアプリやゲームなどもできて、色々な選択肢があります。
子ども達には、自分に合ったやり方を見つけて、成長してもらいたいですね。
◆著書『覆す力 』(小学館新書)
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◆公益社団法人日本将棋連盟
http://www.shogi.or.jp/
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