室町時代後期に京都で創業し、代々続く和菓子屋「虎屋」
約500年という歴史を持つ老舗中の老舗である同社を受け継ぐスゴい人が、日刊スゴい人1700回目の本日登場する。
歴史ある企業でありながら、新業態としてTORAYA CAFÉをオープンしたり、フランス・パリに出店したりと、和菓子屋さんの常識を覆すようなチャレンジを今でも果敢に行っている。
和菓子の味や技術が最高峰であるのは勿論、接客に対する評価も高い同社。
17代店主である本日のスゴい人は、組織づくりにおいて何に重きを置いているのだろうか?
さあ…
虎屋
17代店主
黒川光博様の登場です!
「羊羹を世界へ」
子どもの頃は挑戦的というより、大人しい子どもでした。
幼いころから、漠然と家業を継ぐのだと思っていましたが、はっきり意識したのは大学生の時です。
親から「継ぐまで暫く好きなことをやっていてもいい」と言われてはいましたが、継ぐ上で役に立つ仕事に就こうと思い、選択したのが銀行でした。
当時の銀行員は花形的な存在でもありました。
国鉄(現在のJR)に集金に行くのですが、麻袋に入った重たい小銭を持って帰るのです。
体力もあったので面白かったですよ。
「仮に盗まれたら」などと思いましたが、重い割には小銭なので大した金額にはなりません。
人が嫌がる仕事でも、頼まれれば気にせず引き受けていました。
よく社員教育の事を聞かれますが、我々の企業理念「おいしい和菓子を喜んで召し上がって頂く」を元に製造担当者も販売担当者もお客様に寄り添っています。
「長い歴史がありますね」と言われますが、それは結果に過ぎません。
会社は“個”の集まりで成り立っています。
強い個がたくさんいる会社は、強い会社になります。
会社が長く存続する為には、個人がどれだけしっかり会社を成り立たせることが出来るかが大切であり、それぞれが自分の得意分野を持つ事が重要だと思っています。
自分がいるから会社が成り立っているという気概を持って、何かを専門に学び、自己成長のために何をするか、いつも様々な事を考えている人になって欲しいと常日頃伝えています。
そういう人は世の中への貢献度も自然と高くなり、活躍するチャンスも増えます。
長い歴史がある会社で働く事が、社員の誇りとなり、モチベートにも繫がるのであれば、そこは上手く相乗効果となれば良いな、と思います。
チョコレートが世界中で食べられているように羊羹も世界中で親しんでいただけるよう、「羊羹を世界へ」を目標に掲げています。
「和菓子業界は駄目かもしれない」「息子に継がせるのは大変だ」という同業の方の声を聞くこともありますし、実現には長い時間が必要だと思いますが、挑戦を始めています。
その一歩として、外国のお客様対応の為に語学が出来るスタッフを配置したり、商品説明の英語表記も必要なので作成するなど、出来ることを一つひとつ丁寧に進めています。
世界には小豆を栽培している国もあり、お砂糖もとれます。
その土地の材料でその土地にあった羊羹を作っても良いのです。
自分が持っている既成概念を取り外し、日本のみならず世界に羊羹を広めていきます。
◆虎屋
https://www.toraya-group.co.jp/