近年、急性期治療を終えた患者が介護を目的とした社会的入院を続ける事で、伸び続ける医療費の抑制をすることが、大きな課題となっている。
この状況を改善するために、厚生労働省は在宅医療を推進している。
本日は、その在宅医療の基礎を築いたスゴい人!が登場する。
厚生労働省が在宅医療の制度を作り上げる10年も前から地域に密着した訪問診療に取り組み、その患者数は現在では1500名以上に上る。
彼が訪問診療を始めたきっかけとは?
さあ・・・板橋区役所前診療所 院長 島田潔様の登場です!
「地域に密着した医療」
医師の道を志した頃から、『医療を受けられない人に、医療を届ける』というのが自分のやりたいことでした。
東大病院の研修医1年目の時に、阪神淡路大震災が起こりました。
医療ボランティアに行きたかったのですが、忙し過ぎて上司の了解を得られませんでした。
それを見ていた先輩が、
「研修医2年目に出向する時には、比較的時間にゆとりがあるお年寄りしか看ない病院にいったらどうだ?」
とアドバイスをくれたのです。
実際に出向してみると、その現場には、医療をまともに受けられない、多数の患者さんがいたのです。
心臓の疾患で入院していて、退院して2,3ヶ月しても寝たきりのために薬を取りに来られない人がたくさんいたのです。
そうしたら、当然薬が切れるので病状が悪化してしまい、また急患として病院に戻ってくる。
入院して、集中治療室に入るとなると、高額な医療費がかかってしまうのです。
この状況は患者も不幸だし、国の医療費の負担も大きい。
自分に何かできないかと思ったんですね。
患者さんが通えないなら、若い医者こそ病院にいないで患者さんのもとに行けばいいと考えたんです。
3年目に東大病院に戻った時に上司に頼み込み、勤めながら往診専門の診療所を開業させてもらいました。
大学病院の当直ベッドで寝て、大学病院の患者の指示を出したら、自分の診療所の往診に行って戻ってきて・・・
1年間は休み無しで働いていました。
平均3時間くらいしか寝てなかったと思います。
開業したての診療所に信用をつけるために、都立老人医療センターで直属の上司だった人が、総婦長を雇用できるように調整をしてくれたのです。
そうしたら、できたばかりの医療機関を勧められたことが総婦長のプライドを傷つけ、退院患者の紹介を全部ストップされたんです。
この時ばかりは焦りました。
なんせスタッフを増やした後でしたから。
この時支えてくれたのは、ヘルパーさんや役所の福祉事務所の人でした。
地域で往診する先生が必要なので、紹介をしてくれたんです。
本当に、この時支えてくださった方々には足を向けて寝られないですね。
今まで辛いと思ったことは一度もありませんでした。
元々、何も無いところに出向いて医療を届けたいと考えていたからかも知れません。
国境なき医師団の気分を少しでも味わうために、往診車はパジェロミニを使っています。
気分が盛り上がるんですよね。
これからも、地域の人々に必要とされる医療機関として地域に密着して貢献していきます。
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