本日登場するスゴい人は、日本の古典文化をわかりやすく楽しく伝える、古典芸能解説者のスゴい人。
彼は元NHKエグゼクティブアナウンサー。
38年間NHKの名アナウンサーとしてお茶の間で親しまれ、「NHK趣味講座 仕舞入門」「芸能花舞台」など数々の純邦楽や古典芸能の番組を担当。
特に日本の伝統文化や古典芸能への造詣は深く、歌舞伎、能狂言、文楽、日本舞踊など多岐にわたって解説や執筆を行い、講師として大学の教壇にも立つ。
取材中も常に笑顔で話す姿から、伝統芸能が大好きで話をするのが楽しくてたまらないという気持ちが伝わってきた。
難しそうに思える伝統芸能を楽しめるようになった理由とは?その背景を教えて頂こう。
この記事を読んで古典芸能に興味を持った方は、是非劇場に観に行って頂きたい。
さあ・・・
アナウンサー・古典芸能解説者
葛西聖司様の登場です!
「芸を味わう」
ごく普通のサラリーマン家庭に育ったのですが、時代は高度経済成長の真っ只中。
学校帰りに映画を見たり、友達の親から歌舞伎の招待券をもらって観に行ったりするのが日常でした。
もちろん内容はわからないのですが、お弁当が付いてお土産ももらえる、そんな空間にワクワクしていました。
思春期から自然に大人の楽しむエンターテイメントを味わえたのです。
歌舞伎は、映画が1000円の頃に350円で観られたので、気軽に無理せず楽しめる娯楽でした。
美空ひばりさんが演じている作品の元が歌舞伎だったり、人形浄瑠璃の原作は能にあったりと、色々な見方や繋がりが見えてきて、その繋がりのダイナミックさに引き込まれていきました。
古典芸能への憧れはあったものの、古典芸能の家系ではないし、今から自分が芸を身につけるのは厳しい。
当時はNHKだけが伝統芸能を放送していて、俳優にインタビューしたり、解説したりしている人がアナウンサーだと知り、NHKのアナウンサーなろうと決めました。
しかし、入社したものの、20代は生活をするために仕事をしている状態。
休みは殆ど無く残業時間も膨大で、何度も辞めようと思いましたが、辞めたら次の仕事はありません。
ただ、自分の好きな伝統芸能は自己投資として見続けていました。
社会人になってからは仕事としても見ているので、細かい演出などや演技の変化に注目していました。
入社から15年経った頃、宝塚の劇場中継の仕事が舞い込んだのです。
叶わないと諦めそうになった夢の仕事。
最初の一行は「劇場中継です」のたった一言でしたが、感無量で涙が溢れて読めませんでした。
夢を諦めかけ、仕事の中で何を目標として良いかもわからない日々でしたが、アナウンサーとして職能を高め、自分を磨く事で何とか仕事から逃げずに済みました。
フリーになると安定的な収入がなくなるので不安はありましたが、NHKという看板ではなく葛西聖司として自由に表現できる嬉しさはありました。
今でも今日は文楽、明日は日本舞踊と1日1つ必ず足を運んで勉強しています。
金銭には繋がりませんが自分への栄養源です。
何百年と続く伝統芸が現代でも経済的に成り立っているのは、そこにエンターテイメント性が備わっているからです。
舞台だけに集中せず、リラックスして空間すべてを楽しんでみて下さい。
日本人は手の仕草だけで感情を察することが出来ます。是非、本物の舞台を目にし、貴方だけが感じる新しい発見を探してみて下さい。
◆葛西聖司の松竹歌舞伎セミナーを全国で開催中
問い合わせは松竹演劇部まで
https://www.shochiku.co.jp/contact/
◆都内の歌舞伎講座は下記で開催
NHK青山文化センター・朝日カルチャーセンター
文楽講座 早稲田大学エクステンションセンター 甲府の歌舞伎講座 山梨文化学園
◆イベント情報
3月7日 国立劇場 邦楽演奏会解説
http://tomin-fes.com/list/hougaku.html
3月19日?22日 六本木ヒルズ にっぽん文楽公演
http://www.nipponbunraku.com/