日本にミュージカル文化を定着させることに大きく貢献した「劇団四季」
「キャッツ」「ライオンキング」などの数々のロングラン作品を上演している。
昨年からスタートした「アラジン」は2016年1月現在、2017年1月?6月の公演チケットを予約販売しているという人気ぶりである。
本日登場するスゴい人は、この劇団四季の会長を務めるスゴい人。
同劇団は戦後間もない昭和28年に設立され、昨年2015年には3100回の公演を行い、306万人を動員した。
そのうち有料公演は2600回。残りは子ども達を無料招待する「こころの劇場」という活動である。
日本で不動の地位を確立した劇団は、今日までどのようにして成長してきたのだろうか。
劇団四季を支え続け、率いるスゴい人の想いとは。
さあ…
四季株式会社(劇団四季)会長
財団法人舞台芸術センター 理事長
佐々木典夫様の登場です!
「こころの劇場」
戦後の劇団は政治思想色が強かったですが、四季は一貫して芸術至上主義。
全国に組織された鑑賞団体も政治色が強かったため四季は取り上げてもらえませんでした。
今思えば、それが自前のネットワークをつくるきっかけになりましたから本当に良かったのですね。
劇団創立後10年。日本生命さんの日生劇場とのご縁で、四季はミュージカルを手がけていくことになります。
ニューヨークの「ウエストサイド物語」を日生劇場に招聘、出演者にミュージカルの指導を頂いたのが四季のミュージカルのノウハウのスタートでした。
創立後15年に四季は全国に飛び出します。俳優と営業がチームを組んで全国で芝居を上演するための営業活動を展開しました。
どの街でも俳優がポスターを持って営業をしていると噂になり、青年会議所や三田会や医師会などが無名の四季を応援してくれました。
全国28か所に支援組織「四季の会」も誕生しました。
現在の劇団四季は、30年以上に渡るこうした地道な活動の上に成り立っています。
劇団の最大の転換期は「キャッツ」を上演した1983年です。30周年の年でした。
当時の日本の劇場の貸し出しは1ケ月単位で、連続しての長期使用が不可能でしたから、自前で劇場をつくるしか道がありませんでした。
テント劇場の「キャッツ」は東京で1年のロングランのあと、大阪・名古屋・福岡・札幌へと転戦しました。
どの街でも半年から1年の長期公演を実現、30万人?50万人の観客が劇場に殺到しましたから、地元の皆さんが驚きました。
こんなにミュージカルを楽しむ人々がいるのだったら劇場を用意してやろうと、「キャッツ」を上演した街に四季の専用劇場が誕生していきます。
舞台芸術を楽しむお客様を創ることは、地域の劇場芸術全体への貢献にもなります。
思えば日本生命さんのお蔭で50年続けることができた「ニッセイ名作劇場」は、多くの作品を生み出すとともに全国各地で小学6年生を授業で無料招待する「こころの劇場」へと進化しました。
8年前から、北は利尻島から南は石垣島まで、「思いやりのこころ」「ともだちの大切さ」「いのちの尊さ」など生きていく上で大事なメッセージを届け続けています。
昨年は450回の公演に日本の小学6年生のほぼ半数の56万人の児童を招待しました。
多くの企業のご支援をいただきながら不足分は有料公演の売り上げで賄っています。
お客様のチケット代が子どもたちの招待を可能にしているのです。
企業は利益ですが、劇団は運動です。
適正利益を確保しながらこの劇団という船の乗組員を守り攻めていくのが私の役割です。
約1300人規模になった今は、先輩たちの礎のもとに現在の四季があることを繰り返し伝え続けています。
◆劇団四季
https://www.shiki.jp/
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