クリエイティブ業界に新たな潮流が生まれている。
近年イベントなどにおいて頻繁に用いられる“プロジェクションマッピング” はその代表格と言えよう。
本日登場するスゴい人は、クリエイティブ業界の最前線を走るスゴい人!
プロジェクションマッピングを世に広く知らしめた、2012年の東京駅丸の内駅舎全体を使ったショーの総合演出を手掛けたのは彼だ。
あれほどの成功を収めながらも、全く満足せずに、今でも苦しみながら追い求め続けているという。
さあ…
クリエイター
クリエイティブカンパニー 株式会社ネイキッド 代表
村松亮太郎様の登場です!
「自分の目で見て、自分の頭で考えよう」
幼い頃から、勉強、スポーツどちらもできた優等生タイプだったと思います。
小学校の時は放課後、クラスの連絡網の最初から最後まで電話して遊びに誘っていて、自分では全く自覚がなかったですが、根っからのリーダータイプだったのかもしれません。
自分ではそれが普通だと思っていました。
ただ、中学生くらいになってくると、友人だと思っていた周りの人たちが、自分が失敗するのを本当は望んでいるような瞬間を感じる時がありました。
そこから一気に人間関係に嫌気が差して、勉強も部活も醒めてしまって…。
高校時代はほとんど学校にもいかず、授業に出ていても哲学書を読んでいました。
あとは、音楽と映画ですね。
その時の自分にとっては、本、映画、音楽がいろんな世界や生き方を教えてくれる、そんな存在だったのです。
高校3年生の時に、進路を決める必要があったのですが、その時の自分には進路を決めることなんて考えられなかったんです。
そこで、アメリカに1年間留学しました。
帰国後、映画に携われないかと思い、役者になり、大学を1年で中退して、上京しました。
役者になったものの、当時はトレンディドラマ全盛期で、映画ではなくドラマで活躍する役者として、事務所は僕を売りだそうと考えていたんですね。
今でこそ当時の事務所への恩を感じていますが、映画に携わりたかった当時の僕は反発し、話し合いの度に、事務所の社長と大げんかでした。
当時、周りの大人たちによく言われていたのは、「村松は正論しか言わない。正論すぎて、それでは通用しない」と。
なぜ、正論を口にしてはいけないのか?当時の私には全く理解できませんでした。
「今後はジャンルの境目もなくなって、一人の人や会社が色んなことができるクリエイティブシーンになる」という自分の考えを話すと、周りの大人たちは「その考えは、絶対うまくいかない。餅屋は、餅屋。間違っている」と99%言いましたが、僕には自分の考えが間違っているようにはどうしても自分で思えなかったのです。
そんな時、ハリウッドスターのショーンペンが、同じように役者であるはずなのに、自分で映画を作ってしまったのです。
これは、僕には巨大な衝撃をあたえました。
「映画を自分で作れるかもしれない」
そしてMacを買い、日本ではまだ数本しか出回っていなかった映像処理ソフトを買い、アメリカから参考書を取り寄せながら、独学で勉強しました。
機材やソフトを買っていき、気づいたら借金が200万円くらいまで膨れ上がっていました。
そこで、初めてちゃんと仕事にしようと決めました。
そうして、当時一緒に仕事をしていた映像ディレクター、グラフィックデザイナーらと設立したのが「ネイキッド」です。
これが1997年。デジタル環境で映像が作れるという時代の走りでした。
そして、ネイキッド設立1年目で片っ端から各業界のナンバー1と仕事をしようと決め、当たった営業先のひとつである日テレさんから、TVドラマのオープニングタイトル映像の仕事をいただきました。
これが注目してもらえて、一気に仕事を受注するようになったのです。
その後、ジャンルを問わず、TV、広告、エンタメetc…、映像、グラフィックデザイン、3DCG、実写など幅広く活動をしてきました。
2002年ごろから自主映画製作も始め、2006年から2010年の間に映画を4本劇場公開し、世界の映画祭も50近く参加してきました。
2010年ごろにプロジェクションマッピングを知り、「映像がフレームから初めて出る」表現に興味を持ちましたが、あくまで、僕にとってプロジェクションマッピングは表現手段のひとつでしかありません。
そこからは、僕は「SCENE(シーン、情景)」と呼んでいるのですが、空間演出や体験自体を創造する活動を続けています。
例えば、新江ノ島水族館の「ナイトアクアリウム」や、今夏も開催するホールイベントの「FLOWERS BY NAKED」などです。
それは、映画のワンシーンを例えば、水族館とかホールといった現実に創り出すような行為と近いので、あまり僕にとって今までとは違うジャンルのことをやっているというつもりはありません。
僕は、空間演出でもイベントでも、単にビジュアル演出をするのではなく、ストーリー性を大事にしています。
その空間に訪れた人に感心してもらいたいのではなく、感動してもらいたい、何かその人に残るものになるといいなと思って作っています。
僕の作品は、常に未完成です。
100万人以上の人に自分の作品を楽しんでもらってきましたが、自分で自分の作品を完璧とか満足と思えたことなんて一度もないですし、これからもおそらくそうでしょう。
だからこそ、僕は創作し続けるし、どうあればいいのか、追求し続けているのだと思います。
だから、今日も明日も、考え抜かないとダメなのです。自分の頭で。
◆NAKED Inc
http://naked-inc.com
◆村松亮太郎公式blog
http://lineblog.me/muramatsuryotaro/
◆FLOWERS BY NAKEDフラワーズバイネイキッド
7月30日(土)?8月31日(水)
会場:東京ミッドタウン・ホール
http://flowersbynaked.com
◆AQUARIUM BY NAKEDアクアリウムバイネイキッド
7月1日(土)?8月31日(水)
会場:NESTA RESORT KOBE
◆ネイキッドが空間創造を手がけた歌舞伎公演
“Panasonic presents Wonder KABUKI Spectacle KABUKI LION SHI-SHI-O -The Adventures of the Mythical Lion”
特設サイト
http://naked-inc.com/t-a/kabuki-lion/