本日登場するスゴい人は、発電所、新幹線、高速道路などで使用される“絶対にゆるまないネジ”を生み出したスゴい人。
このネジは新幹線の全てのネジにも採用され、40年間無事故である事を表彰された。
単に無事故だけではなく、当初新幹線は駅に着くとネジゆるみの点検に2時間を要していたが、同社のネジになってからは、到着後、車内清掃を終えたらすぐに出発が可能となり、点検作業が無くなり、より効率的な運行が可能になったという。
平成21年には「企業功績」で旭日双光章を受章した。
現在では日本だけに留まらず、イギリス、ドイツ、台湾の高速鉄道にも採用され、世界の安全を支えている。
画期的な商品はどのようにして生まれ、世に広まったのだろうか。
さあ…
ハードロック工業株式会社
代表取締役社長
若林克彦様の登場です!
「人が喜ぶアイデアを」
戦争で長野に疎開した時、辛そうに種まきをしていたお婆さんを楽にできないかと考え、「種まき機」を発明。
大人が喜んでくれて本当に嬉しかったのを今でも覚えています。
高校時代、書店で発明や特許に関する本を見つけて読むと、事例も沢山書いてあり、感激し、アイデアでお金を稼ぎたいと思いました。
就職先はバルブ会社の設計担当。
設計資料を集めようと展示会に足を運ぶと、畑違いの緩み止めナットを無理やり渡されました。
これが縁なんですね。
家に持ち帰ったサンプル品を見ると、複雑でしかも高い。
もっと簡単な構造にして安くすれば売れると確信し、ナットの上にバネ板を装着すれば簡単で安価に出来る事を思いつきました。
特許も出願し、1年ほど経った頃、製品化したくてたまらなくなり、想いだけで会社を辞めて独立。
弟と特許事務所の人に声を掛け、3人でスタートし、設備もないので友人の工場を夜の2時間だけ借りて製造しました。
しかし、製品を問屋に持って行っても「JIS規格に違反しているから売れない」と断られ続けました。
それなら現場で使ってもらおうと町工場に行き、サンプルを置き続けました。
半年近く経って「サンプルが無くなったから購入したい」と1件電話が入り、初取引成立。
3年経つ頃にようやく順調に売上が出るようになりましたが、クレームも増えました。
激しい振動を起こす削岩機やマンションの土台を埋め込む機械などでは、やはり緩んでしまうのです。
「絶対に緩まないネジを作らなければ」と考えていると、いつもの散歩道のお宮の鳥居にあるくさびが目に入り、くさびを応用しようと思いつきました。
半年以上かけて考え抜き、はめ込んだ時に噛みあう仕組みができた時は、苦しみから脱出できる喜びの瞬間でした。
会社は共同経営者に譲り、10名のスタッフと共に新会社を設立。
1年で軌道に乗せようと思ったものの、やはり3年かかりました。
鉄道のレールでのテスト採用の効果測定の結果が出るまで1、2年間は卵焼き器を発明し、社員総出で手作りして実演販売者と協力し、利益を作り出しました。
1日8,000個売れた日もありました。
テストをはじめ、色々な所で効果が出始めると次々に採用が決まりました。
不便やクレームがある所に発明のスタートがあるのです。
私は今でも自分が作った製品が喜ばれると、子どもの頃と同じように嬉しくてたまりません。
◆ハードロック工業株式会社
https://www.hardlock.co.jp/
◆著書「絶対にゆるまないネジ―小さな会社が「世界一」になる方法 」(中経出版)
http://www.amazon.co.jp/dp/4806139742
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