日本の企業は常時雇用している労働者数の2.0%以上の障がい者を雇用しなければならない。
経営者側に雇用したい気持ちはあっても、実際に雇用を実行できている企業はまだまだ少ない。
そんな中、社員81名中60名が知的障がい者、うち半数が重度の障がいを抱えているという、全体の70%以上が知的障がい者の企業が存在する。
何故、積極的に障がい者雇用をするようになったのか?
どのような仕事を与え、利益を追求できているのか?
さあ…
日本理化学工業株式会社
取締役会長
大山泰弘様の登場です!
「利他の歩み」
昭和59年、養護学校の先生から生徒の就職をと相談されたのですが、二度お断りすると、三度目に「採用は諦めます。ただ子どもたちは就職できないと施設暮らしになり、一生働くことを知らずに過ごします。数日で良いので働く経験をさせてやりたいのです」という言葉が心に響き、2週間の実習を受け入れました。
預かった2人の働く姿に感動した社員達が「私達が面倒を見るから雇用して欲しい」と言ってくれたのです。
私も、最初は同情心からの雇用でした。
昭和48年、労働省から「知的障がい者のモデル工場が必要なので、融資制度を活用して是非工場を建ててくれないか」と打診があり、1億2千万円を借りて川崎に新工場を建てる事ができ、20年で償還しました。
その人の理解力に合わせた仕組み作りを徹底しました。
例えば、文字は読めなくても色がわかるなら、チョークの2種類の材料の計量には、赤と青の大きな缶に材料袋を入れ、色別に必要量のおもりを用意して、赤い缶の材料を量るときは赤いおもりをのせるという風に。
ただ、全ての企業が同じように取り組めるとは思えません。
チョーク業界は、大手が参入しないニッチな商売であったからです。
仮に、重度の知的障がい者を20歳?60歳まで40年間施設で全て面倒をみると、1人あたり2億円掛かるといわれています。
しかし、中小企業の手取り足取りの職人文化を活用して、その人の理解力で出来る仕事を用意する代わりに、国から障がい者に最低賃金(年間約150万円)を支払ってもらえれば、その人はグループホームの寮費の6?7万円を支払って地域で自立した生活が送れるのです。
それは、障がい者本人だけでなく家族にとっても安心です。
福祉施設も仕事のプロの企業に任せられれば、一般企業で働けないとされる重度の障がい者も役に立って働く幸せが得られる「皆働社会」を実現できるので、国も、中小企業も、障がい者も、家族も、福祉施設も良しの五方良しとなるのです。
憲法に、すべて国民は個人として尊重され、勤労の権利を有し、義務を負うとあります。
障がい者も含め、人は人の役に立って必要とされることが人間の究極の幸せなのです。
振り返ってみると、利他の歩みで天が導いてくださったように思えます。
あの時、2人を受け入れていたから、多くの皆さんに支えられ現在の当社があるのです。
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ダストレスチョークに代わる次の柱として、ガラスやホワイトボードなどに書いて、水拭きで簡単に消せる「キットパス」を開発。
子どもから大人までみんなで楽しめる「楽描き」文化を提案しています。
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